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コラム
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部下側からハラスメントをおこさないための研修「フォロワーシップ」とは

組織の成果を最大化するために、チームのメンバーがリーダーをサポートする力を「フォロワーシップ」と言います。リーダーの指示に従うだけでなく、組織やチームの成果を最大化するために、主体的にリーダーや他メンバーに働きかけて支援する行動や能力のことです。リーダーを補佐するだけでなく、時には建設的な提言を行ったり、自身が持つスキルを活かして業務を積極的に引き受けたりすることを含みます。この概念は、変化の速い現代において、リーダーシップと並んで組織の成功に不可欠な要素とされています。

パワーハラスメントは指導する側だけの問題ではない

これまで、管理職を対象としたパワーハラスメント(パワハラ)研修を数多く実施してきました。

これは、パワハラの定義が「優越的な関係を背景とした言動」を一つの要件としているためです。現実的に、ハラスメント行為者は管理者に多いことから、「優位な立場にある者」がまずハラスメント対策を徹底的に学び、正しい指導方法を習得することが重要であるという考えに基づいています。
しかし、研修を実施する中で、管理職からは以下のような具体的な悩みが聞かれます。
「部下が指示通りに動いてくれない」
「指示を出すと、部下に不快な表情をされる」
「テレワークでカメラオンを求めても応じず、『それはハラスメントだ』と指摘される」

このように「パワハラ」という言葉が浸透した一方で、その正しい理解が進んでいないという課題があります。

部下側の一部には、「権利を主張すれば何でも認められる」と誤解し、正当な指導や指示に対しても安易に「ハラスメント」と主張するケースが見受けられます。その結果、管理職はハラスメントを恐れるあまり、正当な業務指示や注意さえも躊躇し、部下とのコミュニケーションを避ける傾向が強まっています。これはハラスメント問題の解決を妨げるだけでなく、職場全体の生産性低下にもつながる深刻な事態です。

フォロワーシップ(Followership)がパワハラ対策に有効である主な理由

「上司と部下の間に健全な双方向の関係と心理的安全性を築く」ことによって、ハラスメントが発生しにくい土壌を作り、問題が発生しても建設的に解決できる環境が整うからです。
フォロワーシップとは、部下が上司のリーダーシップを単に受け入れるだけでなく、主体的に上司や組織を支援し、提言し、責任を果たす能力のことです。
具体的にパワハラ対策に有効なポイントは以下の通りです。

信頼関係の強化と心理的安全性の醸成

コミュニケーションの質向上: フォロワーシップを発揮する部下は、上司の意図を理解しようと努め、必要な情報を自発的に共有し、建設的な意見を伝えます。この密な双方向のコミュニケーションは、上司のニーズや状況を客観的に把握できるため、お互いへの信頼感が深まります。(パワハラの要因である誤解やずれを防ぎます)

ハラスメントへの誤解の解消: 信頼関係が深まることで、上司からの正当な指導や注意が、部下にとって「人格否定」や「いじめ」ではなく、「成長のためのフィードバック」として受け取られやすくなります。

 管理職の孤立と負担の軽減

業務の自発的な支援: フォロワーシップが高い部下は、上司の指示を待つだけでなく、組織の目標達成のために自発的に行動し、上司の業務をサポートします。

過度なストレスの防止: 上司の業務負担やストレスが軽減されることで、精神的な余裕が生まれ、感情的に部下に接したり、不適切な言動(パワハラ)に走ったりするリスクが低くなります。

 健全な「異議申し立て」の実現

建設的な提言: 優れたフォロワーは、組織のために必要であれば、上司の判断が間違っていると感じたときに、臆せず建設的に意見や異議を申し立てることができます。

不適切な行動の是正: これにより、上司の不適切な言動(パワハラにつながる可能性のある言動)がエスカレートする前に、部下側からのアクションで早期に軌道修正される可能性が高まります。

まとめ

フォロワーシップは、パワハラの主な要因である「上司と部下の関係性の悪化」「管理職の孤立・ストレス」を根本から改善します。これにより、上司は「パワハラを恐れて何も言えない」状態から脱却し、部下は「正当な指導をハラスメントと誤解する」状態から脱却し、健全で生産的な職場環境を作り出すことができるため、パワハラ対策に非常に有効であると言えます。

フォロワーシップ研修カリキュラム一例(事前打ち合わせにて、ハラスメント基礎知識を盛り込むなどアレンジ可能)

内容 方法・時間配分 累計
第1部 フォロワータイプを高めよう
・フォロアーシップとは何か
・リーダーシップとフォロワーシップ
・5つのタイプと目指すべきフォロアーシップ
・フォロワーシップ成功例
・フォロワーシップ実践度チェック
・フォロワーシップを高める行動
第2部 フォロワーシップ向上アドバンスポイント
・上司が部下に求めること
・上手な提案DESC法
・フォロワーシップ事例検討
・本日の研修のまとめ

講師説明(40分)


個人ワークとディスカッション(10分)

講師説明(15分)

ディスカッション(20分)

 

 

50分

 

90分

フォロワーシップのポイント

「フォロワー」=受動的な役割ではない:
単に指示に従うだけがフォロワーではなく、チームを「支持・支援する」役割を担う。

「リーダー」もフォロワーシップを持つ:
リーダーも、自身の立場を理解し、フォロワーとしての役割を果たすことが求められる。

組織全体に求められる姿勢:
チーム内の全員にフォロワーシップが求められる。

批判的思考(クリティカルシンキング)も重要:
リーダーの指示や決定を無批判に受け入れるのではなく、より良い成果につなげるために、客観的な視点を持つ。

詳細お問い合わせは下記よりお気軽にご連絡ください。貴組織に併せて内容や時間はアレンジ可能、全国出張いたします。