セクハラ行為者個人研修の必要性【公認心理師解説】
あらゆるハラスメントの中でも、セクハラほど取扱いの難しいハラスメントはないと言えるでしょう。
セクハラ行為を二度と繰り返させないためには、「セクハラ行為者個人研修」を受講させて心から反省してもらうのが有効です。
弊社でもセクハラ個人研修のご依頼が増えてきました。
このコラムでは、セクハラ行為者に再発防止に努めてもらうために上司や人事担当者が押さえておくべきポイントを解説します。
(写真は大美賀直子講師)
目次
セクハラ行為者は、なぜセクハラを繰り返すのか? 3つの理由
通りいっぺんの注意・叱責で終わっている
セクハラはプライバシーが絡むデリケートな問題であるため、上司や人事担当者はできるだけこの問題解決を早く終わらせようと考える傾向にあります。そのため、通りいっぺんの注意・叱責だけで対応を終えてしまい、「あとは本人が行動を改めるだろう」と甘い予測のまま放置していることがあります。
考え方と行動のクセを改めていない
心から反省していなければ、行為者は自身の考え方や行動のクセを改めるはずもありません。異性の職員を性的な関心で眺め、性的嗜好を仕事の中にまで持ち込み、お酒が入ると性的な話題を始め、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)に凝り固まっていたりするのは、考え方と行動のクセを改めていない証拠だと言えるでしょう。
被害者の傷の深さをまったく分かっていない
行為者は被害者の心の傷の深さに鈍感で、相手がいかに傷ついているか理解しようともしない人が少なくありません。そのため「今回はたまたま運が悪かったから」「相手が神経質でクレーマーだったから」などと自分に都合よく解釈して反省せず、同じようなセクハラ行為を繰り返していることも少なくありません。また、被害者としては相手に対してきっぱりと拒否することが難しく曖昧な対応をしてしまいがちです。そこに、気づかないということも理由の一つです。
セクハラ行為者に心から反省してもらう4つのコツ
セクハラ行為者に個人研修を受けさせる
上記の4つの理由からセクハラ行為者に心からの反省を促すためには、自分が行ったことをじっくり振り返り、自分の何が悪かったのか、言動の振り返りと反省点の洗い出しを徹底させる必要があります。そのためには注意・叱責、始末書の提出だけで終わらせず、「セクハラ行為者個人研修」を受講させることが非常に効果的です。行為者特有の問題にフォーカスしてカスタマイズされた研修課題にマンツーマンで取り組むことで、自己理解が深まり、再発防止への意識が高まります。
セクハラ行為者個人研修は社外の専門家が最適
行為者は、上司や人事担当者の前では、自分の心の内をさらけだす気持ちになれないものです。だからこそ、セクハラ行為者個人研修は社外の専門家に任せるのが最適なのです。とはいえ、知識偏重で硬すぎる講師、相手を叱り飛ばす「鬼コーチ」に任せるのは逆効果。知識と経験、思いやりと厳しさが同居した、人間的にバランスのとれている講師を選ぶのが重要です。
研修で再発防止のための行動目標を立てさせる
個人研修で自分を振り返り、心から反省できたら、再発防止のための行動目標を立てさせることが重要です。目標設定も個人研修の講師に一任すれば、行為者はプライバシーに配慮された安心できる空間で自分の言動を見直し、素直な気持ちで具体的な行動目標を立てることができます。
個人研修の継続でPDCAサイクルを回す
仕事の遂行と同様、ハラスメント再発防止においてもPDCAサイクルを回すことが重要です。そのためにも個人研修は1回だけで終わらせず、できれば1年間ほどの期間を設定して定期点検を兼ねた研修を継続して行っていくのが効果的。初回研修で洗い出した反省点、目標設定を数カ月ごとに振り返りながら、目標を改善に遂行できるようにしていくことが重要です。
セクハラ行為者個人研修内容(一例)
弊社の個人研修は事前打ち合わせ及び初回面談にてケースにあわせてオリジナルの内容を提供しますのでこちらはあくまでも一例となります。(1回から2回で終結することが多い)
1.セクシュアルハラスメントの基礎理解
・再発防止を徹底する~再発しやすい4つの理由
・セクハラの定義と分類(対価型/環境型)
・拡大するセクハラの範囲
・セクハラの法的責任
2.行為者の心理と見直すべき言動
・セクハラにつながりやすい認知と傾向
・男性間で生じやすいセクハラ(「同性のよしみ」の認識に注意)
・セクハラになるボディタッチ(じゃれる行為含む)
・セクハラがエスカレートしやすい理由
・被害者に与える影響
・周囲の人に与える影響
3.セクハラの再発防止を防ぐために
・セクハラを防ぐ意識と行動習慣
・他人の不快感に気づくポイント
・コミュニケーションの大切さ
・セクハラを防ぐ日常会話
・相手が安心してかかわれる言葉、態度
・再発防止目標の明確化
・ストレスマネジメントの重要性
・本研修のふりかえり
(配布資料抜粋)
セクハラ行為者個人研修の提供先を選ぶ3つのコツ
ハラスメント対策研修実績が豊富かをチェック!
企業研修を行う会社は無数にありますが、ハラスメント対策に特化した研修が充実した提供先を選ぶことが重要です。ハラスメント問題に詳しい提供先なら、年々アップデートされる最新情報をフォローしているため安心です。少なくとも10年以上のハラスメント対策研修の実績を持ち、セクハラだけでなく、パワハラ、モラハラ、カスハラなど多種多様なハラスメントに対する情報が豊富な提供先を選びましょう。
講師の特性、資格と経験と実績をチェック!
セクハラ対策は非常にデリケート。だからこそ、講師の質は重要です。
(1)公認心理師などの信頼性の高いカウンセラーの資格を有し、ハラスメント相談に多数対応している
(2)企業研修講師歴が長く、管理職研修から新入社員研修まで多様な研修に対応している
(3)人生経験が長く、行為者に説得力を持って対峙できる年齢的な重みを兼ね備えている
この3つの要素を持ち合わせた講師が最もお勧めです。
研修コンテンツのカスタマイズ、柔軟性をチェック!
セクハラ行為者の個性は人それぞれに異なります。だからこそ個人研修には、事前に丁寧にヒアリングを行い、行為者の特徴に合わせた最も効果的な研修内容にカスタマイズする力が求められています。顧客のニーズを取り入れながら、柔軟に対応してくれるフットワークの軽い提供先を選ぶ必要があります。
セクハラ行為者に心から反省してもらい、再発を防ぐためには、以上のポイントを押さえて対応していくことが重要です。
執筆:公認心理師・精神保健福祉士・産業カウンセラー 大美賀直子
株式会社ハートセラピーでは、加害者個人研修の実績も多く、講師は全員心理師としてカウンセリングも15年以上行いながら、ハラスメントコンサルタントとしても活躍しておりますので安心していただけます。是非、ご依頼ください。詳しい説明や見積もりなどは無料ですのでお気軽にお声かけください。
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