メンタル不全の早期発見をする方法(公認心理師監修)
メンタルヘルス不全の早期発見は、個人の回復を促進し、より豊かな生活を送るために非常に重要です。
当社ではメンタルヘルスに関する外部相談窓口契約や訪問カウンセリングのサービスを提供しております。
訪問カウンセリングでは、従業員をランダムに対象とした場合でも、自覚がないうつ病の兆候をカウンセラーが対話を通じて発見することがあります。
慢性的なストレス状況にあると、ストレスに対する自覚が薄れ、無理を重ねた結果、病気に至ると言われています。
今回は、ご自身で早期発見する方法と、周囲の方がどのように早期発見を支援できるかについてお伝えいたします。
目次
自分できづくメンタル不全の早期発見のヒント
メンタル不全は、様々な形で現れるため、一概にこうだとは言えませんが一般的に以下の様な変化が見られることがあります。
気分の変化: いつもと比べて、気分が落ち込みやすくなったり、イライラしやすくなったりする。やる気の低下や不安感が持続する。
思考の変化: 悲観的な考えばかりが頭をよぎったり、集中力の低下、決断力低下がみられる。
行動の変化: 食欲不振や過食、不眠や過眠、疲れやすさ、身体のだるさ、社会活動からのひきこもりなど、普段と異なる行動が見られる。必要のない買い物をする、多量の飲酒をする、喫煙などもストレスからきていることが多いですね。
身体症状: 頭痛、胃痛、めまい、動悸、蕁麻疹などの身体的な症状が出る。(からだが教えてくれることも多いです)
対人関係の変化: 周囲の人とのコミュニケーションがうまくいかなくなり、人との接触を避けたり、人間関係がうまくいかなくなったりする。
これらの変化が長期間続く場合や、日常生活に支障が出ている場合は、メンタル不全の可能性がありますので早めに誰かに相談するか受診しましょう。
周囲が気づくメンタル不全は「KAPE」で発見!
私たちは自分自身のストレスを自覚できない、無視してしまいがちです。自分では気づきにくい心の不調。周囲の目が、早期発見の鍵となります。
メンタルヘルス不調の早期発見のために、「KAPE」(堤産業医オフィス代表・堤多可弘氏提唱)という考え方があります。「KAPE」は、以下の4つの要素の頭文字を取ったものです
K:勤怠の乱れ
眠れない、朝起きられない、通勤中に体調が悪くなるなど、今までになかったような症状が出たり、遅刻や欠勤が増えたりする等の勤怠に影響が出てきます。
A:安全な通勤や勤務ができない
注意力や集中力の低下から、ミスが増えたり、事故につながる可能性も。安全に仕事ができているか、周囲で確認することが大切です。
P:パフォーマンスの低下 集中力、注意力、思考力の低下により、仕事がいつもより遅くなったり、ミスが増えたりするなど、パフォーマンスが低下が見られます。
E:周囲への影響 仕事が滞り、周囲に迷惑をかけてしまう。コミュニケーションがうまくいかず、人間関係にトラブルが生じるなど、周囲への影響も、心の不調のサインの一つです。
これらの変化に気づいたら、早めに本人に声をかけて、専門家(医師、カウンセラーなど)への相談を促しましょう。早期発見・早期治療が、回復への近道です。
周囲の気づきがお互いの「こころの健康」を守ります
メンタル不全は、早期に発見し、適切な治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、より早く回復することができます。また、日常生活への影響を最小限に抑えることも可能です。
周囲の人ができること
変化に気づく: 上記のような変化に気づいたら、声をかけてみましょう。「最近様子が少し変わっているように見えるけど、何かあった?」など、相手の気持ちを尊重した声かけが大切です。
相談しやすい雰囲気を作る: 相談しやすい雰囲気を作り、話を聞いてあげましょう。「いつでも相談してね」という言葉だけでなく、実際に話を聞く時間や場所を確保するなど、具体的な行動が求められます。
専門家への相談を促す: 必要であれば、「一度、専門家に相談してみてはどうか」と、専門家への相談を促しましょう。
無理強いはしない:本人のペースに合わせて、ゆっくりとサポートすることが大切です。大切なのは、本人の気持ちを尊重することです。
メンタル不全にさせない為に組織が行うべきこと
最後に、組織が行うメンタルヘルス対策についてご紹介します。事業主は使用者責任として安全配慮義務があります。従業員の心身の健康を守る役割があるのです。経済産業省では、健康経営に係る各種顕彰制度として、平成26年度から「健康経営銘柄」の選定を行っており、平成28年度には「健康経営優良法人認定制度」を創設しましたね
人事部や健康管理スタッフによる定期的な個別面談
職場のストレス調査を行うと、高ストレス者で多い属性は「40代・課長職」です。パワハラをしないためにも管理職に対するフォローは大切です。我々が加害者に対する個人研修をしていても、加害者は管理者や指導者が多いのですが、部下とのやり取りに悩んでいたり、上からの圧力に悩んでいたりと困っている方が多いのです。人事担当者かその他ご担当者が是非とも面談をしていただく時間をお取りいただければと思います。
ストレスチェック義務化
ストレスチェック制度(労働安全衛生法第66条の10)実施義務 常時50人以上の労働者を使用する事業場に対し、医師、保健師等による毎年1回、定期的に心理的な負担の程度を把握するための検査[ストレスチェック]を実施することが事業者に義務付けられました。弊社でも職場のストレスチェックは「総合心理研究所」との提携により業務委託を受けています。産業医、実施者、高ストレス者への面談など対応可能です。
ストレスチェックをすることで、気づきづらいご自身の状態に気づくことが出来ますのでまさに早期発見となりますし、職場のストレス判定図まで出すことで各職場の上司や同僚の支援度合い、人間関係、仕事の量や裁量度合いを知ることが出来ます。つまり、危険職場を早期に発見することで管理職をフォローしたり環境改善を進めることが出来るのです。
メンタルヘルスに関する情報の提供
弊社では会員企業様には毎月メンタルやハラスメント対策に役立つコラムを提供しております。私も製造業に勤務していた時には看護師として毎月コラムを作成して従業員に配布していました。このような活動をされると相談に来やすくもなり早期発見できます。実際、弊社のコラムを従業員に転送していただくと外部窓口への相談が増えます。
メンタルヘルス研修開催
管理職向けのメンタルマネジメント研修・新入社員向けのストレス対策研修・若手向けのレジリエンス向上研修・中堅社員向けのストレス対策研修など対象に合わせた内容にアレンジして開催するとより受講者に対して役に立つ内容でお伝えすることが出来ます。
社内・社外の相談窓口設置
社内相談窓口は健康管理室の看護師や心理師が良いでしょう、健康管理室がない場合は人事担当者などあらかじめ決めて、従業員に周知することが必要です。
社外相談窓口はいくつかの形があります。
1)外部相談窓口契約 電話やzoomなどのオンラインで相談できる仕組みを作る
2)訪問カウンセリング 定期的にカウンセラーが貴社に訪問(希望者優先でその他はランダムに呼び出す)
3)臨時カウンセリング 新人対象・管理者対象など期間限定で対象者を決めて訪問やオンラインカウンセリング
弊社はメンタルヘルス対策・対応16年以上の実績をもち、臨床心理士が22名所属しております。組織で何かお困りのことがございましたらお気軽に下記バナーをクリックしてお問い合わせください。
代表の柳原(公認心理師・看護師・第1種衛生管理者)が対応させていただきます。