パワハラ行為者への個別指導 vol.1|「自分と他人は違う」への気づきが再発を防ぐ
意見を求めたとき、即座に返答がなくイライラしてしまったことはありませんか? 「やる気がないのか」「話を聞いていないのか」と詰め寄ってしまうと、それはパワーハラスメントになりかねません。
実はその沈黙、無視しているのではなく、「脳の処理プロセス(タイプ)」があなたと違うだけかもしれないのです。今回は、心理学の視点から「外向型」と「内向型」の違いについて解説します。
提唱者: カール・グスタフ・ユング(C.G.Jung、スイスの精神科医・心理学者)著書: 『心理学的類型(Psychological Types)』(1921年)
株式会社ハートセラピーではパワハラの行為者個人研修を長年行い、加害者になりそうな行動をしている予備軍およびパワハラ認定された方と1対1で向き合いお話しをさせていただいております。このコラムでは「自己変革個人研修」にて受講生から質問された内容などを参考にして書かせていただきます。
目次
「外側に答えがある」人、「内側に答えがある」人
心理学者のユングは、人の心のエネルギーがどこに向いているかでタイプを分類しました。
外向型(Extrovert): エネルギーが外に向かう
誰かと話しながら考えをまとめるのが得意です。外部からの刺激に反応しやすく、意見を求められると「とりあえず」言葉を発しながら思考を構築します。
会話のキャッチボール=思考のプロセス です。
内向型(Introvert): エネルギーが内に向かう
自分の中で深く考え、結論が出てから言葉にします。意見を求められると、まず自分の内側にある思考の「核」や記憶のデータベースにアクセスし、情報を照合・熟成させます。
沈黙=思考のプロセス です。
その「沈黙」は、拒絶ではなく「思考中」
外向型の傾向が強い人にとって、質問後の沈黙は「反応がない」と映りがちです。しかし、内向型の人にとってその時間は、パソコンで言うところの「砂時計が回っている(ロード中)」状態です。
ここで「聞いてなかったの!」「何か意見はないのか!」と矢継ぎ早に言葉を浴びせるのは、処理中のパソコンのキーボードを連打するようなもの。相手はフリーズ(萎縮)し、さらに言葉が出なくなってしまいます。これを繰り返すと、相手は心理的安全性を失い、ハラスメント事案へと発展してしまいます。
また外向型どおしは話がテンポよく盛り上がりますので、その会話により内向型の方は、より一層意見が言えなくなるのです。

パワハラ行為者個別指導(マンツーマン研修)でのアドバイス
どのような配慮が必要か?
自分と相手は「思考のタイプ」が違うと認識し、以下の配慮を意識してみましょう。
「待つ」というスキルを持つ
質問をした後、沈黙があっても数秒~数十秒待ってみてください。相手が視線を落としていたり、考えている様子があれば、それは無視ではありません。
外向型の人が意見を独壇場のごとく話さないようにする
時々研修でワークをしていても、一人の人が大声でどんどん語り、周囲はうなづいている光景を目にします。独壇場になるのではなく『聞く』を7割、「話す」を3割にする意識をもつと5分5分 になります。
事前にテーマを投げる
内向型の人は即興よりも準備が得意です。「会議の場でいきなり当てる」のではなく、「この件について来週の会議で意見を聞きたいから考えておいて」と事前に伝えておくと、素晴らしい回答を用意してくれることが多いです。
テキストコミュニケーションを活用する
口頭での即答が苦手でも、チャットやメールであれば、自分のペースで深く考えた意見を出せることがあります。「後でメールで送ってくれればいいよ」という選択肢を与えるのも有効な配慮です。
現代のビジネス、特に会議などの場面では「即答する人=優秀(外向型有利)」と評価されがちですが、リスク管理や深遠な戦略立案には内向型の思考プロセスが不可欠です。
個人研修でも受講生が「自分は外向型だから、聞かれたらすぐに答えることが簡単に出来ていたが、確かに部下の中には「事前に打ち合わせのテーマを教えてください」と言いに来る人もいた。正直面倒だと思いましたが、そういうことなのですね。違うタイプだからこそ配慮が大切なのですね」と素晴らしい気づきをされていました。
自分にとっての「普通」が、相手にとっての「普通」ではありません。 「なんで答えられないんだ」「やる気がないのでは」と責める前に、「自分とはタイプが違うのかもしれない」と一呼吸置くこと。それがハラスメントを防ぐ第一歩です。
おまけ・・私も外向型です。なので日頃から「まつ」という意識をするようにしています。特にカウンセリングをする際は開始前に「待つ」「待つ」と自分に言い聞かせています。それでも完ぺきではありませんが、意識することが大事です。外向型・内向型どちらが良いとか悪いとかはありません。内向型は丁寧に考えて結論を出します。違うタイプの人が集まり、お互いの良い部分を活かせるようにするには、タイプが違う人を尊重することが大切ですね。
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