パワハラ行為者への個別指導 vol.4:論理的思考力が高い行為者には「If-Thenプランニング」
目次
パワハラ再発防止に「精神論」は無意味?脳科学が証明する「If-Thenプランニング」の絶大な効果
企業の人事・コンプライアンス担当者の皆様、ハラスメント行為者への対応や再発防止策に頭を悩ませていませんか?「厳重注意をし、本人も反省文を書いたのに、数ヶ月後にまた同じようなパワハラ問題を起こしてしまった……」
このようなご相談を、私どもは数多くお受けしてきました。実は、ハラスメントの再発防止において「もう二度と怒りません」「次からは相手を尊重します」といった本人の「意志の力(精神論)」や「気合」に頼るアプローチは、非常に脆く、再発のリスクが高いのが現実です。
では、確実に職場の安全を取り戻し、行為者の行動を変容させるには何が必要なのでしょうか。今回は、私どもが実際の「行為者向け個人研修」で導入し、高い効果を上げている脳科学的アプローチ「If-Thenプランニング」について解説します。
なぜ「反省」だけではパワハラを繰り返すのか?
日常業務のプレッシャーや疲労が重なると、人間の脳(特に理性を司る前頭前野)はエネルギー不足に陥ります。この状態を「自我消耗」と呼びます。前頭前野の機能は図の通りですので、疲労状態となれば「感情コントロールができなくなる」「意思決定ができなくなる」などコミュニケーションも正常にできなくなるわけです。

脳が疲弊しているときに、想定外のトラブルや部下のミス(怒りのトリガー)に直面すると、脳内の危険センサーである「扁桃体(へんとうたい)」が暴走し、理性が吹き飛んでしまいます(扁桃体ハイジャック)。この瞬間、本人がいくら「怒らないようにしよう」と誓っていても、無意識のうちに昔からの癖である「強い叱責」や「理詰め」が口をついて出てしまうのです。
つまり、一般的なアンガーマネジメントの知識を少し学んだ程度では、現場の強烈なストレス環境下では感情をコントロールしきれないのが人間の脳の構造なのです。
脳科学が裏付ける最強の行動制御「If-Thenプランニング」とは
そこで有効なのが、心理学や脳科学の研究で「目標達成率が劇的に上がる」と実証されている「If-Then(イフ・ゼン)プランニング」です。
ルールは非常にシンプルです。
「もし(If)〇〇という状況が起きたら、その時は(Then)△△という行動をとる」と、あらかじめ具体的な行動を自分の中でプログラミングしておく手法です。
ハラスメント防止におけるIf-Thenプランニングの例
【If】 もし、部下がまた同じミスをしてイラッとしたら
【Then】 すぐに口を開かず、まずはパソコンから手を離して深呼吸を1回する
【If】 もし、他部署からの回答が遅くて「べき論(早く出すべきだ)」が強くなったら
【Then】 感情的に電話をするのではなく、「どの部分で滞っているか」を確認するメールを下書きする

If-Thenプランニングが行為者研修で効果を発揮する3つの理由
私どもは2008年から、数多くの企業様でハラスメント対策研修を実施してまいりました。その経験からも、この手法が行為者の行動改善に極めて有効であると確信しています。
脳の「省エネ」で確実に行動できる
「その場でどう伝えるか考える」のは脳に大きな負担がかかります。しかし、事前に行動ルールを決めておけば、疲労していても無意識の反射(システム1)として、スムーズに適切な行動が引き出せます。
「正論」で追い詰めるタイプに納得感が高い
論理的思考力が高く、仕事ができる行為者ほど「精神論」を嫌います。脳のメカニズムに基づいたシステマチックなこの手法は、彼らの知的好奇心を満たし、主体的な取り組み(コミットメント)を引き出しやすいのです。個人研修でも受講生から「この脳の図と説明は面白い、こういう切り口だと腑に落ちます」と言われます。
机上の空論ではない「明日から使える」スキルになる
一般的な研修で終わらせず、行為者自身の過去の怒りのパターン(トリガー)を徹底的に自己分析させ、その人だけの「オリジナルのIf-Thenルール」を作成することで、現場ですぐに実践できる強力な武器になります。

根本的な解決には「専門家による個人研修」が必要
ハラスメント行為者の根本的な行動変容を促すには、一般的な集合研修や、社内の人事担当者様からの指導だけでは限界があります。行為者自身が「なぜ自分は強い言葉を使ってしまうのか」という深い自己理解(認知の歪みの修正)に至らなければ、If-Thenのルールも表面的なものになってしまうからです。
私どもが提供する「ハラスメント行為者向け個人研修」では、経験豊富な心理師資格も有するベテラン講師が1対1の対話を通じて、行為者の「思考の癖」や「怒りの一次感情」を丁寧に紐解きます。
事前のお打ち合わせで貴社のご要望や事案の背景をしっかりとお伺いし、パッケージ化された既存の資料ではなく、対象者に合わせた完全オリジナルの研修を構築します。現場ですぐに実践でき、かつ会社として「職場の安全確保」を確信できるレベルの再発防止コミットメントを引き出します。
「エース社員だが、言い方がきつくて周囲が疲弊している」
「何度注意しても、本人がパワハラの自覚を持たない」
「降格や休職から復帰させるにあたり、確実な再発防止策を講じたい」
このようなお悩みをお持ちの人事・コンプライアンス担当者様は、ぜひ一度ご相談ください。国の検討会委員も務める確かな知見と、豊富なビジネス現場での実績をもとに、貴社の課題解決を全力でサポートいたします。
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