パワハラ行為者への個別指導 vol.3:「待てない・聞けない」を克服する!リスク回避のための「傾聴」トレーニング
前回のコラム(Vol.2)では、自身の怒りをコントロールする「アンガーマネジメント」について解説しました。しかし、感情コントロールだけではハラスメントはなくなりません。パワハラ行為者に共通する最大の特徴、それは「圧倒的な一方通行」です。18年間パワハラ行為者と向かい合っている中でこの「待てない・聞けない・一方通行」ではない行為者を見たことがありません。
彼らは「待てない」「聞けない」。相手が話し終わるのを待てず、自分の考えややり方を被せてしまう。このコミュニケーションの不全こそが、相手を追い詰め、ハラスメント認定される原因となります。 今回は、行為者が身につけるべき「待つ心構え」と「傾聴の技術」について解説します。

目次
パワハラ行為者の「3ない」特徴
ハラスメントを繰り返す人の会話を分析すると、以下の「3ない」傾向が顕著に見られます。
待てない(せっかち・追い詰める)
相手が言葉に詰まったり、考えたりしている「間」に耐えられません。「つまりこういうことだろ?」と先回りして結論を急ぎ、相手の思考の機会を奪います。また、相手の考えが自分と違う場合に即座に「そうじゃないんだよ」と否定します。vol.1でお伝えした「内向型」のタイプであれば発言はその後できなくなります。
普段からよく言えば仕事が早い、悪くいえばせっかちの方も要注意です。実は私もせっかちなのでメンバーとの関わりでは注意するようにしています。
聞けない(遮断)
相手が反論や事情説明をしようとすると、「言い訳をするな」「口答えするな」と話を遮ります。これは「自分のやり方や考えだけが正しい」という強い思い込み(認知の歪み)があるため、他者の情報を受け入れる耳を持てない状態です。
そのほか、表面上では聞いている風ですが頭の中では「この人細かいんだよね」「それは違うでしょ」などと評価している。そうなると、相手の話をきちんと聞けず「自分の考えのフィルター」を通しているので意思疎通がうまくいきません。
キャッチボールにならない(一方通行)
会話とは本来、双方向の情報のやり取りです。しかし、行為者のコミュニケーションは「ボールを相手にぶつけるだけ」のドッジボール状態。相手が受け取れたかどうかを確認せず、豪速球を投げ続けることが「熱心な指導」だと勘違いしています。結果、相手は理解していなかったり、勘違いされたり、不満感を募らせてしまうのです。
なぜ「聴くこと」が最大のリスク管理なのか?
行為者研修において、私たちは「傾聴」を単なる優しさではなく、「あなた自身を守るための必須スキル」として指導します。
事実誤認を防ぐ 相手の話を最後まで聞かずに叱責すると、前提事実が間違っていた場合に「理不尽な怒り」となります。最後まで聞くことは、誤った指導によるハラスメント認定リスクを下げるための防衛策です。
相手の「納得感」を作る 人は自分の言い分を聞いてもらえて初めて、自分のことを尊重してもらったと感じます。つまり相手の指導を受け入れる土壌ができます。聞く耳を持たない上司の言葉は、どんなに正論でも部下の心には「いやがらせ」としてしか届きません。
パワハラ行為者にならない指導「待てる上司」になるための3ステップ・トレーニング
「性格だから直らない」と諦める必要はありません。以下の3つを意識的なトレーニングとして導入します。
Step 1. 「6秒」の沈黙ルール
アンガーマネジメントと同様、相手が話し終えたと感じても、すぐに口を開かず、心の中で数秒数えます。この「間」が、相手に「まだ話してもいいんだ」という安心感を与えます。
Step 2. 「否定」ではなく「復唱」から入る
「でも」「しかし」という否定的な接続詞を封印します。まずは「〇〇だと思っているんだね」「つまりこういうことですね」と、相手の言葉をそのまま繰り返す(オウム返し)。同意する必要はありません。「相手がそう言った事実」を受け止めるだけで、会話のトーンは劇的に下がります。
Step 3. 自分の「正しさ」を脇に置く
話を聴いている最中に「それは違う」「間違っている」という判断が頭をもたげても、一旦その判断を保留にします。「自分とは違う考え方がある」という事実をただ認識する。これが、行為者に最も欠けている「他者視点」の獲得につながります。

まとめ:指導とは「言わせる」こと
真の指導力とは、部下を黙らせることではなく、部下に「考えさせ、発言させる」ことです。パワーハラスメント対策シンポジュウムでも管理者は「聴く力」を養うことが必須と語られました。聴く力を上げるコミュニケーション研修の社内開催が難しい場合は弊社がオンラインで行っている相談対応研修(午後13:00~16:00 2万円)に参加することもお勧めです。ロールプレイで聴き力を高めます。
「待てない、聞けない」は、ビジネスにおいて致命的な欠点です。 弊社(ハートセラピー株式会社)の個別指導では、ロールプレイングを通じて自分のコミュニケーションがいかに一方通行であったかを客観視させ、「聴くことができるリーダー」への行動変容をサポートします。
【パワーハラスメント関連コラムラインアップ】
☆再発防止率に自信「処方箋型」ハラスメント行為者個人研修|完全オーダーメイド指導
☆ハラスメント行為者(加害者)の行動を変える個人研修
☆パワハラ加害者にならない指導者を目指そう「自己変革コーチング」のご紹介
☆ハラスメント加害者にならないための怒り感情「トレーニング」方法とは
☆パワーハラスメント加害者の特徴と更生方法【公認心理師解説】
☆ハラスメント行為者個人研修で再発防止できます
☆パワーハラスメントをした背景は何かを考える
☆パワハラとは言われない指導法とは
☆パワーハラスメント対策にソリューションフォーカスが有効
☆ハラスメントにならない叱り方/ハラメント研修
☆パワーハラスメント加害者の特徴と更生方法【公認心理師解説】
☆【働き場改革vol.9】パワハラと指導の境界線は? ハラスメント メンタルヘルス対策に役立つ動画
