ハラスメント相談窓口担当者必見!「傾聴」から「事実確認」へスムーズに繋ぐ相談対応のポイント
社内の相談窓口やハラスメント窓口などを担当されている方の多くは、「まずは相談者の話にしっかり耳を傾ける」「気持ちを受け止める(傾聴する)」ことをとても大切にされています。
相談者の苦しみや葛藤に寄り添い、安心して話せる環境をつくることは、窓口として最も重要な役割のひとつです。
しかし、現場で実務を重ねる中で、次のような「傾聴したその後の関わり方」に悩む場面はありませんか?
• 「寄り添って話を聞いた後、どうやって事実確認へ移行すればいいか分からない」
• 「客観的な質問をすると、まるで尋問のようになってしまい、冷たい印象を与えないか不安」
• 「共感しすぎてしまい、次へ繋ぐための客観的な整理が後回しになってしまう」
相手の気持ちを大切にしているからこそ生じるこの悩み。今回は、「傾聴」で築いた信頼関係を壊さずに、適切な「事実確認」と次のステップへスムーズに繋ぐためのポイントをお伝えします。

目次
なぜハラスメント相談窓口では「傾聴」から「事実確認」への切り替えが難しいのか?
ハラスメント相談対応で「傾聴」から「事実確認」への切り替えが難しい理由とは?
そもそも、「傾聴」と「事実確認」では、対応の目的(ゴール)が大きく異なります。
• 傾聴の目的: 相談者の「主観や感情」を受け止め、安心感と信頼関係を構築すること。
• 事実確認の目的: 出来事の「客観的な事実(いつ・誰が・何を)」を整理し、組織として適切な解決に向かわせること。
担当者様が「切り替え」に難しさを感じる最大の理由は、相談者側からすると『共感してくれていた担当者が、急に機械的な面談官に変わった』と感じやすいからです。
親身に話を聞いていた流れのまま、突然「で、それは何月何日の何時頃のことですか?証拠はありますか?」と矢継ぎ早に質問してしまうと、相談者は「信じてもらえていないのかな」「詰問されている」と感じて心を閉ざしてしまいます。
実際のハラスメント相談は「感情」と「事実」が混ざり合うのが当たり前
ここで、実際の相談現場のリアルを振り返ってみましょう。
マニュアルのように「前半10分は傾聴、後半10分は事実確認」と綺麗に時間が分かれる相談現場は、まず存在しません。相談者の多くは、「出来事(事実)」と「辛かった・許せなかった(感情)」を交互に混ぜ合わせながら話されるからです。
そのため、担当者に求められるのは、時間をパキッと区切る「切り替え」ではなく、「傾聴」と「事実確認」の間を行きつ戻りつしながら会話を解きほぐしていくグラデーションの対応です。
相談者の安心感を保ちながら、少しずつ客観的な事実を引き出していく会話の流れを見てみましょう。
上記バナーコラム:ハラスメント相談対応研修|窓口担当者の不安を解消する実践演習
ハラスメント相談現場で使いたい「行きつ戻りつ」の会話例
相談者: 「先週の会議で、みんなの前で大声で怒鳴られて…本当に情けなくて、悔しくて惨めでした」
相談員(傾聴): 「みんなの前で怒鳴られたら、本当に惨めで悔しいお気持ちになりますよね…」(まずは感情をそのまま受け止める)
相談員(事実確認へ一歩寄せる): 「お辛いお気持ちを教えてくださりありがとうございます。落ち着いてからで大丈夫ですので、差し支えなければ、その時に具体的にどのような言葉をかけられたか覚えていますか?」(共感の後に、少しだけ事実へ質問を寄せる)
ハラスメント相談者の気持ちに寄り添いながら「事実確認」へ移る3つのステップ
ハラスメント相談対応で役立つ「事実確認」の3ステップ
では、相談者に「冷たい」と思われることなく、スムーズに次のステップへ進むにはどうすればよいのでしょうか。ポイントは「目的の共有」と「ステップを踏んだ切り替え」です。
ステップ①:『共感のクッション言葉』で相談の目的を共有する
気持ちをしっかり聴いた後、突然事実確認に入るのではなく、「切り替えのクッション言葉」を挟みます。
【伝え方の例】 「〇〇さんがこれまでどれほど辛い思いをされてきたか、よく分かりました。お話しくださってありがとうございます。 この問題を〇〇さんにとって良い方向へ解決に向かわせるために、少し詳しく当時の状況について整理してもよろしいですか?」
「あなたを問い詰めるためではなく、あなたを助け、問題を解決するために具体的な質問をするのだ」という目的を言語化して共有することで、相談者は安心して質問に応じられるようになります。
ステップ②:「感情」と「事実」を整理しながらヒアリングする
事実確認に入った後も、「取調べ」のような雰囲気にならないよう、相談者の言葉を丁寧に拾いながら深掘りしていきます。
【伝え方の例】 「先ほど『ひどい言葉を投げかけられた』とおっしゃっていましたね。お辛いことを思い出させてしまい恐縮ですが、具体的にどのような言葉だったか、覚えている範囲で教えていただけますか?」
「ひどいことを言われた(感情・主観)」を否定するのではなく、「具体的にどんな言葉だったか(事実)」を一緒に確認していく姿勢を見せることが大切です。
ステップ③:今後の対応プロセス(人事・委員会等への繋ぎ)を伝える
事実の整理が一通り終わったら、相談者が「話し損」や「放置」されたと感じないよう、今後のプロセスを明確にします。まずは本人の要望を確認したうえで、何らかの組織的な解決を望むのであれば・・・
【伝え方の例】 「本日伺った内容をもとに、次は〇〇(人事部/委員会等)と共有し、今後の対応を検討します。来週の〇曜日までに一度進捗をご連絡しますね。」
次に「誰が」「何をするのか」「いつ連絡が来るのか」を伝えることで、相談者は「しっかり対応に繋いでもらえた」という安心感を持って面談を終えることができます。

まとめ:ハラスメント相談者への寄り添いと事実確認は「セット」で機能する
「傾聴」と「事実確認」は、決して対立するものではありません。しっかりと傾聴して信頼関係(心理的安全)が作れているからこそ、相談者は安心して本当の事実を話すことができます。
相談者の気持ちを大切にしながら、しっかり組織の解決プロセスへ繋いでいく。この両立ができるようになると、相談窓口としての対応力は飛躍的に高まります。
現場で活かせる「対応力」をトレーニングしませんか?
「頭では切り替えの重要性が分かっていても、実際の面談になると言葉に詰まってしまう」 「自分では寄り添っているつもりでも、相手にどう伝わっているか分からない」
このようなお悩みは、本を読んだり知識を得たりするだけではなかなか解決できません。実際の現場では、相談者のタイプや感情の揺れに合わせて、柔軟に対応を変化させる必要があるからです。
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